「言葉のポトラック5 声がつなぐ短歌」

10月9日、上記イベントに行ってきました。
ポトラックとは、「料理を持ち寄る」という意味。大震災によって傷ついた心をそっと癒すために、めいめいが「言葉」を持ち寄って、その響きに耳を傾けることで今を乗り越えていこう、という趣旨で開催されているイベントの、今回は5回目。東直子さん(先生!)が主催をされています。
イベントは前半と後半に分かれており、前半は早稲田短歌会の方々の朗読でした。中でもいいなあと思ったのは、吉田恭大さんという方の朗読でした。こちらと、近くも遠くもない、気持ちのよい距離を取って、品のよい朗読をされていたと思います。
後半はいよいよ、歌人の方々のご登場。さすがの貫禄といいますが、どなたも舞台に上がると同時に舞台の雰囲気を自分のものにされてしまうのはすごいと思いました。短歌の朗読のみならず、音楽とのコラボレーションであったり、詩や散文の朗読であったりと、豊かなバリエーションで楽しませていただきました。間のとり方なども、実に気持ちが良かったです。中でもいちばんぐっときたのは、やはり東先生が舞台に立たれていた時間だったでしょうか。声が、体に沁み込んでくるような、そんな不思議な気持ちになりました。
朗読は、声が奏でる生の芸術なのだということを肌で実感した気がします。石川美南さんもおっしゃっていましたが、普段は目で見る・読むものとして短歌を捉えているので、それを人間が声に出すとき、どう空間がふるえ、どう他の人に届くのかということをあまり考えてはきませんでした。発語の瞬間、放たれる言葉が空間を支配するのを目の当たりにして、もっと声に出すことについて思いを巡らせたいと感じました。
会場では、講座でご一緒している方や、いままでTwitterで交流していた方とお会いできて、とても嬉しかったです。ほしかった岡井隆さんの歌集も購入しました。東さんの「十階」と判型はいっしょなのですが、中身がぐっと硬質な感じで、読むのが楽しみです。