2012-11-06 未来2012年11月号 彩 「縺れゆく舌」 人工衛星(サテライト)はつかに過ぎるみづうみの底ひにをのことをみなの眠る 大母(おほはは)の予言に縺れゆく舌よ<おまへは言葉にたましひを売る> 限りなき溺死の記憶湛へつつ街はまたぞろ夜に消えたり わたくしの体に憩ふ獣(けだもの)も朝には顔を纏ひ出でゆく 肺さへも侵されてゆくこの夜をどこかで揺れてゐるサイリウム 暁光に手ゆび翳せば眠る汝(な)のくびすぢに影おちゆくばかり ゆびさきに記憶あつめるこのひとのいのちの器くだく日のため 朝焼けの速度をなにで知るだらう環状線は光に塗(まみ)れ たましひよおまへは鳥だ鳥なのだ醜く生きて生き延びて翔べ