鳥はいかなる時に叫ぶや

重くゆるく林のなかをくだる影鳥はいかなる時に叫ぶや(高安国世)

2002年冬、朝日新聞の大岡信のコラム「折々のうた」にこの歌が載っていた。わたしは小さなこの記事を切り取って、長いこと机のシートの下に入れていた。高校3年生、受験のさなかの頃だった。その時の気持ちはもうよく憶えていないが、たぶん叫び出したかったんだろうと思う。
切り取ったそれがどこかに行ってしまってから、記事が収められている岩波新書の「新折々のうた7」を探して買った。勤め始めて少し経ってからのことだった。ほそくほそく、歌とどこかで繋がっていた自分を思うと、なんだか不思議な気持ちがする。