未来2013年5月号

「庭のこと」
花の庭 わたしが探してまはるのはゾーリンゲンのあのばかのこと
わたくしは遂にほどけぬ蛇(くちなは)の子どもを捨てにゆくところです
この庭に巻き貝が埋もれゐることのこはさをきみに全身で言ふ
足もとの泉が映さないものに気づかず君はその水を飲む
寝ころびて宙(そら)にむかへば我がみづも仰向けに横たはつてゐるか
紅白の魚泳ぎゐて疣をもつ魚あらばその疣およぐ見ゆ
濡れることを知らぬ水面にいくつもの雨降りそそぎ一瞬の 影
円環はこはれやすしと思ふとき君が腕にて眠るかなしさ
君の声が涸れるその日を知らないで耳を浸しつぱなしにしてゐた

割付日、花粉でずいぶん苦しんでいたみたいです。