未来2016年3月号

見つめれば照り返しくる眼差しのおなじ深さの瞳に出会ふ
両の手を濡れた土より引き抜けば十指くまなく輝いてゐる
過去なんかどうでもよくてこの夏のまぶたに雨を享けてゐるだけ
この胸にあるのは炎そしてまた憶えてゐないあなたが燃える
ひらと舞ふ野火のやうなり東国の白き額の美しい人

未来年間賞受賞第一作として「冬の銀河」20首を掲載していただきました。