2010年総括

今年の2月ごろより、作歌をはじめました。
作る中で、自分はこんなにものを知らなかったのかと愕然としたり思わぬ面白さに出会ったり、いろいろ学ばせてもらい、また楽しませてもらった一年でした。
短歌という形は奥深くて、少しかじったばかりの自分が何か気の利いたことを言えるわけもないのですが、最近ひとつ思うのは、私にとって短歌は今のところフィクションでありファンタジーでありエンターテインメントなんだなということです。短歌は私の日常を真正直に反映するものではない。歌われる私や僕やわれは現実のわたしではなく、歌う対象もリアル世界のそれとは限らない。詠む私は、人殺しや不倫の歌だって詠みたいと思っていて、美しいものと同じくらい汚いものを詠みたいと思っている。歌を読んでもらったとして、その人に眉を顰められたところで別に構いはしない。きっとそれもその時の私の意図であるはずなので。
もちろん、読み手がどう取るかなんていうのはそもそものところで自由です。言葉は伝えるためのツールだけれどそれだけのものではないし、詠み手の意図するところではない拡がりがあったっていいと思う。だから、自分の気持ちはこうだから絶対にこう受け取れという限定はしないようにしたい。そのように範囲を狭めてしまうのは、短歌という詩型にしても、作品とした自分の言葉たちにしても、もったいないような気がするのです。うまく言えませんが、言葉をもっと自由にできるような短歌を掲げていくために技を磨いていけたらなあと思っています。