2012-01-01から1年間の記事一覧

死にかけた話

子どもの頃に、祖父の運転する車で中央分離帯のガードレールに突っ込みかけたことがある。 車の真正面に、切り込むようにまっすぐに近づいてくるガードレールを見て、後部座席の真ん中に座っていたわたしは「あ、わたしは終わるんだ」と一瞬で理解した。 そ…

未来2012年12月号

「隣りあふ海」 運命を手繰る右手と突き放す左手の間にわが置かれをり いつしゆんの背(せな)ひからせて鈍色の魚は真水の奥に消えにき 窓ガラスの空が映つてゐる部分だけを見つめてきたやうな人 たましひの代理人たる少女ゐて空の鳥籠ゆらしてをりぬ 波に目…

うたらば 第38回テーマ「細」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 休憩に煙草ふかせばたましいはこんなにも細くながく流れる そういえば、投稿している割にはブログパーツをここに貼っていないんですけど、はてなダイアリーは通常では…

秋の作品批評会に参加してきました

たまにはちゃんと普通の記事も書こうかと。いやでも短歌以外の記事を書かなくなって久しいけど。 秋の作品批評会とはわたしが所属している「未来」で年に二回行われている批評会です。未来は選者制で自分が師事する先生のところに歌を送るので、ほかの選歌欄…

うたつかい2012年10月号

うたつかい -短歌な月刊zine- 表紙裏のさくらこさんの歌がとても好きです。 「この薬指」 君がわたしの髪を乾かす時に降る遠い記憶のなかの夕立ち 感情線生命線をかい潜り運命線を走る列車よ ぎんいろの軛(くびき)を抜けば浮き上がる泡よりかるきこの薬指 …

未来2012年11月号

「縺れゆく舌」 人工衛星(サテライト)はつかに過ぎるみづうみの底ひにをのことをみなの眠る 大母(おほはは)の予言に縺れゆく舌よ<おまへは言葉にたましひを売る> 限りなき溺死の記憶湛へつつ街はまたぞろ夜に消えたり わたくしの体に憩ふ獣(けだもの…

短歌研究(2012年11月号)

詠草の選は佐佐木幸綱さん。 よんほんの足を生やして自転車は走りゆきたり父と子を乗せ 寝不足のヴォーカリストの頭上にて花を咲かせる地下鉄路線図 おもむろに拳をひらき放ちやるやうにあなたも老いてゆくのか 今月号は新進気鋭の歌人とか特集が盛りだくさ…

うたらば vol.06 テーマ「入道雲」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 冊子に歌を採用していただきました。前回に引き続き写真ページと佳作採用!なのに、ブログがこんなに遅くなってしまって申し訳ありません。 海沿いの国道をゆくトラックの荷台に積み上がる白い雲 限りなく育つ雲へと…

うたらば 第36回テーマ「手」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 うつくしき他者の介在 なだらかな腹に手を添へ微睡む姉は 題詠blog2011で詠んだ歌なのですが、表紙フォト短歌に選んでいただいて、裏うたらばにも取り上げていただいた…

NHKラジオ第1「オトナの補習授業」

ラジオ第1「オトナの補習授業」 夜ぷちがなくなり、短歌研究の詠草もうたう☆クラブも出さなくなった今、久しぶりの投稿となりました。 テーマは「短歌・日記をつけるように」。 殖えすぎたクラゲを真水に入れるとかそういうことしか今日はしてない 勝村政信…

未来2012年10月号

「ほほづゑの千年」 はつ恋は水際のごとく潮騒に耳を浸せば沁みてゆく部屋 立て膝で「野ばら」を歌ふ窓ぎわの君はをみなを喉(のみど)に棲まはせ ほほづゑの千年ののち立ち上がり歌ひはじめる寿歌のこと 臓器(オーガン)をわさわさ揺らしつつ笑ふ人の子ら…

短歌研究(2012年10月号)

詠草の選は佐佐木幸綱さん。 異界より来て異界へと戻りゆくチャルメラやきいも物干し竿も うたう☆クラブコーチはなみの亜子さん。 たわむれに不思議な味のお茶を飲むロシアのキャラバンについてゆく 今後は、投稿するのを控えていこうと思っています。ああ、…

うたつかい2012年7・8月号

うたつかい -短歌な月刊zine- しまった、書くのを忘れていた。この号から隔月刊になりました。 「模範囚」 模範囚のごとくに我が見ゆる日の胸に揺らるるIDカード 曇天をひるがえし飛ぶつばくらめ翻された言葉のあとを 好きな人の指を数えてもう一度数えなお…

短歌研究(2012年9月号)

新人賞は今年も予選を通過したのみでした。 わたくしが水であること青いみずに尿をすればいろがかわるよ たましいの端と端とを掴み合い四条通をすり抜けてゆく 来年またチャレンジします。 詠草の選は高野公彦さん。 風に圧され漫画喫茶に辿り着くわたしが吹…

短歌研究(2012年8月号)

詠草の選は高野公彦さん。 沈黙が耳に噛みつく夜にいてわたしは指を組み合わせている 交配の果てなるわれら地の下を走る列車に運ばれてゆく うたう☆クラブのコーチは横山未来子さん。 妹と呼ばれることのなき一生 吹上坂をぐんぐん下る ☆マーク付きでした。 …

天下一短歌会に参戦しました

エキチカヘブン'12の前日、7月14日。大阪は空き家*1で行われた天下一短歌会に参戦してきました。(リンクはUstreamの天下一短歌会アカウントとなっています) 1stラウンドとは26名、評のあとに点を入れる方式で上位5名が決勝ラウンドに進出できます。 ベラン…

うたつかい2012年6月号

うたつかい -短歌な月刊zine- 早く書いておかないと次号が来てしまう! 「幾つもの河」 幾つもの河を越えたる思いする 俯せに眠るひと跨ぐとき 丸パンをゆっくりと割る指先に孤独をも渡されてしまえり うすい血の色の沈黙 向かい合うふたりの上に降るウムラ…

『エキチカヘブン’12』に出演しました

大阪の堺市で行われるイベントに短歌の朗読で出させていただきました。お誘いいただいた岡野さんから聴いていた通り、海が見え、女神を遠くに望む、駅から近くの素敵な会場でした。 正午過ぎに会場入り、壁に短歌を貼ったり冊子の製本をお手伝いしたりリハー…

『エキチカヘブン’12』に出演します

告知です。大阪の堺市で行われるイベントに出させていただきます。 以下、お誘いいただいた岡野大嗣さんのツイートより。 解散の危機を乗り越えた「何らかの歌詠みたち」が、7月15日(日)大阪の堺市で開催される『エキチカヘブン’12』に出演します。メンバ…

うたらば 第32回テーマ「焦」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を2首採用していただきました。 雨上がりはいい匂いです六十年前は焦土だったという、この国の なんの思ひもて斧ふるふ男らは樵とふ字に閉じ込められて

NHKラジオ第1「オトナの課外授業」

ラジオ第1「オトナの補習授業」 6月19日に台風4号のため放送が休止になり、採用歌だけが先に発表されていた「短歌・あのヒトと相聞歌」は7月3日火曜日21:05〜21:55の放送です。だそうです。テーマは「声」。久しぶりに東先生の声がラジオで聞けるー! 以下、…

短歌研究(2012年7月号)

今月号は自分のとかは割ともうどうでもよくて、むしたけ号だと思ってました。(車みたいだなあ) 自分もうたう☆クラブ賞は過去に2度いただいていて、まあかすりもしなかったんですけれど、十年の軌跡を見ていたら自分なんかほんとまだまだだなあと。思いまし…

うたつかい2012年5月号

うたつかい -短歌な月刊zine- 東京のなかでもうちはなぜか届くのが一日遅くて、到着報告ツイートを見るとどうしてもそわそわしてしまいます。 「恋愛始末譚」 ながすぎる恋のかたみとして残るあなたを仕舞っておく箱がない 昨日までは確かにあなただったもの…

たまにはパブリック

応用情報技術者試験に合格しました。やったー。 本腰入れて勉強したのは直前の一ヶ月だったかな、二週間だったかな…。なかなかの付け焼刃であまり誇れないのですが、まあ受かったらこっちのもんです。一回落ちてるしね。 成績照会してみたところ、大方の予想…

うたらば 第31回テーマ「雨」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに歌を採用していただきました。 こんなにも細くて頼りないからだで降ること決意したのね 雨は 題詠blog2011より。

短歌研究(2012年6月号)

詠草の選は馬場あき子さん。 我ひとり入る墓のごとしづもれる集合住宅へ戻りくる 鉄筋のコンクリートに囲まるる部屋とはときに石棺である 「囲まれる」としていたのを上記のように直していただいていました。やってしまうんだよなあ、気をつけなければ。 う…

NHK短歌(2012年5月号)

うっかり書き忘れるところだった。この時のが載っています。 NHK短歌(2012年3月25日分) - モ ノ ガ タ リ 結局、四月以降は投稿をしていません。2年間、ほんとうにお世話になりました。ありがとうございました。

うたつかい2012年4月号

うたつかい -短歌な月刊zine- ますます分厚くなってゆく、なのにお値段据え置き100円。毎月毎月、頭がさがる思いです。 「都会に住む動物たちのことについて僕らが何を知っているだろう」 曲がり角を直角に曲がり鮫が来る 会釈をしてからまた歩き出す アイス…

うたらば vol.05 テーマ「想い人」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 冊子に歌を採用していただきました。初の写真ページ採用! ガラス越しに眺めていたい(恋人よ)わたしの指紋は汚れすぎてる ミサイルの発射スイッチ押すように送信ボタンを叩く毎日 ましろさんからはうたつかいの3月…

咳をしても

最近ブログの存在を忘れます。おんもに出た短歌くらいは書きとめておきたいのだが。 GWは石川美南さんの裏島・離れ島批評会(東京編)に行ったり、和歌山で豪雨に降られて引き返してきたり、未来の春の批評会に行ったり、HHGなる語をつくったり、月面基地か…