うたつかい2013年4月号

うたつかい -短歌な月刊zine-

「港(ハーバー)にて」
秘密裏に春の径(こみち)をひたひたとゆけばひかりは雪を真似する
水の面(おもて)みずの裏より眺むればなべてこの世はあやうく揺れて
君はきみの過去を泳いできたんだね ほとりの足跡(あと)は乾かずにいる
つま先は地面を離れやわらかき椅子に人魚のように沈みぬ
街じゅうに雨の匂いの立ちこめて君の不思議なまなこ瞬く
テーマ詠「はじまり」
たまかぎる夕闇のはじまりはいつも愛が滴り落ちる場所から

今号では、短歌meetsと題して掌編を書かせていただきました。お手にとっていただければ幸いです。