未来2013年1月号

「静かな革命」
曇天をよこめにけさは犬のため無塩のパンを焼きゐる店主
降りさうな不二家の前でペコちやんのいつまでも濡れてゐる舌の先
僕よりもゆるやかに老いていく椅子をゆふべの窓のひかりに寄せる
空の眼は潤みはじめて明日きみは花の名をもつ町より来たる
闇に降るきみの指紋に口づけて僕ら忘我の幻となる
真夜中のいのちは冷えて夜明けごろifは畏怖へとかたちを変へる
人類の胎児をきみは孕みつつ暗き窓へと身を寄せてゆく
ぜつばうに雨が降るなら雲よ雲おまへは静かな革命となれ

発行所でお手伝いのシールをちょきちょきと切っていた号。
角田純さんに工房月旦で2012年10月号の「切つ先をゆくのはこはい後悔の後ろに立ちて手を添へてやる」を取り上げていただきました。ありがとうございます。