うたらば 第63回テーマ「高」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 なぜ本に飛び込むといふ崇高な死を選ぶのか ちひさな羽虫 最近立て続けにやられて…。

未来2014年6月号

「祈りにも似たしぐさ」 白きカラーの茎にくちびる当てながら横笛のごと構へてゐたり 少年が投げあげて手に取るものを過ぎゆくわれはふたたびは見ず 地下鉄のホームに響くアナウンス男女のこゑがからみあふなり イヤフォンのコードはつねに絡まつて祈りにも…

未来2014年5月号

「五月の人」 ぐらぐらと溢れるほどに湯を沸かす 受けとめるのに要るのは力 駆けつけた家族がつどふ部屋に起き金環食をぜんゐんで見る 目蓋をゆつたり閉ぢてむかふなら千年万年ねむりの栄華 最後ですと促されるまま祖母の手がつめたき額、ひたひにふれる そ…

うたらば 第60回テーマ「入」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 いちもくさんに波打ち際まで駆け寄つてされどみづには入らぬひとよ 未来2013年12月号の「今月の一人」に載せていただいた歌です。モデルはさまよえる合宿のときのU山さ…

未来2014年4月号

「花箱」 父の背のやうなる坂をのぼりつめどうしてここが地獄だらうか ひざ立ちで迎へる春のゆふぐれにわたしよ胸をひらいて笑へ 触れてゆくそばからわれを鍵盤にしてしまふ指、風の指さき 見ひらいた眼に降る雨が眦をあふれるまでを草原に死ぬ くおんくおん…

うたらば 第58回テーマ「春」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 視界の端やぶられたかと思ふほど溢れくるなり菜の花の黄 未来2014年3月号に載った歌です。

積読漸減プロジェクト「本の話をしようじゃないか」10th week

3/27 『草祭』(恒川光太郎/新潮文庫)読了。好き。 3/28 『亡羊』(奥田亡羊/短歌研究社)読了。これも好き。 3/29 『吉原と島原』(小野武雄/講談社学術文庫)読了。 3/30 いちおうこのプロジェクトは終わりの目安というのを決めていて、そこまでは継続…

積読漸減プロジェクト「本の話をしようじゃないか」9th week

3/20 『メビウスの地平』読了。わ、若かった。 3/21 出かけるときは、単行本一冊もしくは文庫本二冊をかばんに入れるようにしている。文庫本二冊のときは、小説と歌集とか、詩集とノンフィクションとか、必ずタイプの違うものを入れる。たいていどちらも読み…

積読漸減プロジェクト「本の話をしようじゃないか」8th week

3/13 この記事を読んでもらえればわかると思うんだけど、『生者と死者』、読む前から閉じたまま版と開いた版と二冊手元に置きたい衝動に駆られている。 3/14 『暗殺教室』8巻読了。第68話のチャンスの時間がいい話だった。あと最後の見開き、どうして真っ白…

積読漸減プロジェクト「本の話をしようじゃないか」7th week

3/6 『闇の国々Ⅲ』(ブノワ・ペータース/小学館集英社プロダクション)を借りてくる。出たのも嬉しいし、図書館が入れてくれるのも嬉しい。全四巻なんだなあ。 3/7 『純白光』を、少しずつ読む。 3/8 ジュンク堂書店池袋店で『グリム童話』(ちくま文庫)上…

未来2014年3月号

「射手座と春」 腕を伸ばしゆつくりと背そらしゆく我はいつかの戦場の弓 朝への弔ひとして底冷えの路上に落ちてゐる百合の花 奔馬ゆく一瞬のそのまなざしがわが胸底を照らしてゆけり 最奥に燃えつづける火 心臓と名づけたき炉をあなたは抱いて 対岸よ 手の届…

積読漸減プロジェクト「本の話をしようじゃないか」6th week

何の本を読もうか決めるときがいちばんわくわくしているかもしれない。 2/27 律子さんが興味を持ってくださったので、2001年からつけている読書記録をお見せする。面白がっていただけて嬉しい。でも翻訳物が少なくてがっかりさせてしまったようで申し訳なか…

うたらば 第57回テーマ「服」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 裾をつまむ指さきそっと離されていまスカートを溢れだす花

積読漸減プロジェクト「本の話をしようじゃないか」5th week

むしろ、むしろですよ、いろいろ買うなら増税前の今なのでは、と。乗せられている。 2/20 平野さんとのやりとりのあと、家の本棚で『供述によるとペレイラは……』(アントニオ・タブッキ/白水社)を探す。途中、見事としか言いようがない雪崩が起きる。 2/21…

うたつかい2014年1月号

うたつかい -短歌な月刊zine- 「季節ごとに君が抱える野の花を背骨のように大事にしたい」 金魚草せなかに隠し良心が疼きだすのを確かめてゐる 嬰児(みどりご)はまろき瞳でしんと見るタイム、セージ、ローズマリーを あらあらと女郎花折る姉さんは誰にもこ…

積読漸減プロジェクト「本の話をしようじゃないか」4th week

減ってない。むしろ増えてる。 2/13 『天体育ち』読了。 息抜きに『銀河英雄伝説』(田中芳樹/創元SF文庫)のWikiを見ていたところに再アニメ化の情報が飛び込んできて、どんどん読み返したくなってきてしまった。さらに、本編は十年前にぜんぶ読んでいるん…

積読漸減プロジェクト「本の話をしようじゃないか」3rd week

先週は本を買わなかった代わりにフレグランスをいくつか買ってしまって、ストレスの解消は結局そっちに行くのかと思っていたのですが、そんなことを言いながら今週は一日目から本を購入しています。ああ。 といっても、手元にある本を読むまでは買わないなど…

未来2014年2月号

「あやとりの川底」 魚たちが渦巻く午後の押し入れにひつたりと耳を寄せたまま待つ 冷蔵庫を満たして満たされることの星よりはやく欠けてゆく月 ゆつくりと小指で浚ふあやとりの川底にあるそのさみしさを 全身をくまなく濡らしわたしたち記憶のやうに眠つて…

積読漸減プロジェクト「本の話をしようじゃないか」2nd week

先週「リンクは貼りません」と書きましたが、これははてなブログでした。勝手にリンクがついてしまいました。この機能、あまり好きではないんだけど。 1/30 『小説野性時代』2013年11月号の〈古典部〉シリーズ最新作「長い休日」を読む。米澤穂信特集をもっ…

積読漸減プロジェクト「本の話をしようじゃないか」1st week

自室の机に向かって右側の積読タワーの高さを数えたら35冊で大いに恐れおののいたこと*1をきっかけに、自分が積読を減らすためのキャンペーンを開催することを思いつきました。名づけて積読漸減プロジェクト「本の話をしようじゃないか」。名前はノリでつけ…

第二十五回歌壇賞(候補作)

「歌壇」2014年2月号に、第二十五回歌壇賞候補作として「千の花(ミルフィオリ)」(三十首)を掲載していただきました。得点は道浦母都子さんからの二点と、今野寿美さんからの一点でした。たぶんみなさんとても気遣ってくださってあんまりおめでとうとか言…

2013年の読書メーター年間まとめ

平均のデータは出なくなっちゃったみたい。 読んだ本の数:222冊 読んだページ数:49095ページ 本を読んで何かする、ということが多かったので純粋な読書量は減っていますね。今年はもうちょっと数を読んでいきたいです。 去年はこちら

未来2014年1月号

「春の柩(後)」 売店のビニール傘を購へば増えてしまひぬ遺品ひとつが 空にかほ隠しつつゆくわたしたちはかへすがへすも雨の標的 水の匂ひ満ちるからだの重たくて心をそとに引き摺つてゆく 動脈に絡め取られしこのからだ遠流の果てに沈みゆくべし 同じ高さ…

うたらば 第55回テーマ「横」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 曇天をよこめにけさは犬のため無塩のパンを焼きゐる店主 思うところがあって、最近は「未来」に載せたものも投稿するようにしています。これは2013年1月号「静かな革命…

2013年総括と年頭挨拶

あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。 去年も書いたしという流れのこのエントリなのですが、そんな大したものでもないんだけどなあと思いつつ書いてみます。2011年、2012年といろいろあったからかもしれませんが、2013年…

未来2013年12月号

「春の柩(前)」 祈るやうに目蓋をおろすよこがほに深き耳孔うがたれてゐる 別れぎはは白くて広い昼下がりきみに娘のやうに呼ばれて 潮騒は胸郭のふちに満ちみちて溢さぬやうにきみを見送る 玄関の波打ち際のしづけさに裸足のあしを投げ出してみる 降る前の…

うたらば 第53回テーマ「目」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 ぬばたまの君の瞳は鳥であり他になにもない夏の休日

うたらば vol.08「田舎」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 まさかまだ書いていないとは思わなかった…。ちょっと前の話になりますが、冊子に歌を採用していただきました。 東京はいいところねと繰り返す祖母がわたしを駅まで送る 妹はわたしのいない部屋に住みベッドの下を掃除…

未来2013年11月号

「それは花」 まだ君の声も知らないまひるまの列車の連結部のうへに立つ 咲く速さを枯れる速さが追ひこして花は盛りを通りすぎたり 煽られる髪を押さへて見送つた地下鉄の風 風のゆくすゑ 唇から漏れた気泡を追ふやうに空の水面を見つめてゐたり 真夜中をは…

うたつかい2013年9月号

うたつかい -短歌な月刊zine- 「黒ずんだこの庭にさえ薔薇は咲き素足で踏めば怪我をするのに」 片耳に開けたピアスは傷ついたあなたの何を塞ぐのだろう 忘れえぬ汗、風、涙、きみのその緑の瞳に光る七月(ふづき)を 強すぎて見えぬ光に目を閉じてまぶたを灼…