リチェルカーレのその後で

いや、まだ売っておりますけれども。こちら『眩暈リチェルカーレ』、内山晶太さんと師である黒瀬珂瀾さんにもお渡しして、ありがたいことに読んでいただきました。そして、Twitterでいただいたメッセージをこちらに載せさせていただきます。 飯田彩乃さんの…

うたつかい2013年7月号

うたつかい -短歌な月刊zine- 「夢、モノ・がたり」 きみの通つた記憶のKindergarten(キンダーガーテン)に永遠(とは)にましろき雪の降るゆめ 鴨川のカップルたちが引きあつた垂直二等分線の夢 軸足に体重を載せる投球のフォームのままにきみ殴るゆめ 段…

未来2013年7月号

「水の川」 水際のやうな月曜日を離り週末といふ対岸はみず 社屋から鳩の飛びたつ瞬間をペテン師の瞳で立ち尽くしたり かの土地をポスト・オフィスと呼ぶときに吹きつ晒しの原野はありぬ 真夜中に羅針盤うち鳴らしつつ踊り場のうへ踊るダンスを 憤懣はひどく…

初期作品集「眩暈リチェルカーレ」の初版分を売りきったので再版しました。

なんという雑なタイトルだろう… Twitterでさんざん告知をしまくったのでご存知の方がほとんどだと思いますが、「眩暈リチェルカーレ」という初期作品集を春先につくって文フリで販売しました。2010~2012年に飯田彩乃がつくった短歌133首を収録しています。 …

うたつかい2013年4月号

うたつかい -短歌な月刊zine- 「港(ハーバー)にて」 秘密裏に春の径(こみち)をひたひたとゆけばひかりは雪を真似する 水の面(おもて)みずの裏より眺むればなべてこの世はあやうく揺れて 君はきみの過去を泳いできたんだね ほとりの足跡(あと)は乾か…

うたらば 第47回テーマ「強」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 わたくしの指も噛み切れないくせにあなたが持っている強い牙

未来2013年6月号

「ふもとに眠る」 部屋といふどこかちひさき水槽のオブジェの内にあなたは住まふ あしの指の先よりみづに浸すときこゑを聞きたり くるしき水の 踵よりやはらかき水したたらせ春のゆるみよいづこより来る 水紋のごとくシーツの広まりて眠りの岸へ辿り着きたり…

未来2013年5月号

「庭のこと」 花の庭 わたしが探してまはるのはゾーリンゲンのあのばかのこと わたくしは遂にほどけぬ蛇(くちなは)の子どもを捨てにゆくところです この庭に巻き貝が埋もれゐることのこはさをきみに全身で言ふ 足もとの泉が映さないものに気づかず君はその…

うたらば 第46回テーマ「金」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 アイス売りの声すれば夏の五時がきて金曜日なら笑み交わしあう

うたらば 第44回テーマ「飛」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 世界ってけっこう広かったんだって飛んだその瞬間に気づいた

うたつかい2013年2月号

うたつかい -短歌な月刊zine- 「光る駅」 わたしたちは冬に生まれてひややかな指に触れないようにふれあう ポケットまでは追いかけてこない手のひらを追いそうになり しまう手のひら 耳もとで何度も呼んでいるうちにあなたの名前を忘れてしまう 光る駅に近づ…

未来2013年4月号

「星のあひ」 空に浮く数多の船がみな君を目がけて飛んでゆくやうな午後 水面をひつたりと圧す舟底のごときレンズを目に嵌めてゆく 地に降りるまぎはの鳩の胴体のあらはなる細さに吸ひ寄せられぬ 樹も駅もおのづから光る冬街を影のふたりは寄り添はずゆく 君…

うたらば 第43回テーマ「別」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 コーヒーにミルク傾けかき混ぜる拍子にあなたが好きだった、と言う

うたらば 第42回テーマ「チョコ」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 甘いだけの恋がしたいのに唇を汚しあうためチョコを咥える バレンタインあたりにTwitterでお祭りになっていたBL短歌より。

未来2013年3月号

「花の名前」 まぶしくて冷たい朝(あした) 二親等の遠さで君と呼びあつてゐる ペットショップに九官鳥がゐたことのない町に住み成人となる 幾たびも花を交へてする話 きみは名前がほしかつたのか 花束を手にした人とすれ違ふ 祈りの数だけ戦場がある ゆふ…

うたらば vol.07 テーマ「鍵」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 冊子に歌を採用していただきました。三回連続で写真ページでの採用です。しかも今回はトップバッター。うれしいです。 春の午後をひたひた眠る妹にいくつか鍵をかけて出かける 自他ともに認めるよく眠る姉妹なので、…

うたらば 第41回テーマ「短」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 僕らよりも短き生を駆けぬける猫に散らない花の名前を

未来2013年2月号

「春の死」 時差のない言葉をきみと交はしつつ君の町より雨雲はくる 夜明け前の会話はときに砂まじり 風の向かうにあなたはゐたが ひとなんてみいんなおろかと言ふけれどそのスイッチを押してはいけない 父君は、母君はと問はれるときにわたしを溢れてしまふ…

第二十四回歌壇賞(候補作)

「歌壇」2013年2月号に、第二十四回歌壇賞候補作として「長ぐつに住むさかな」(三十首)を掲載していただきました。 今にして見ると拙いし、粗の目立つ作品だとは思いますが、予選通過じたいが初めてなのでまずはそのことを喜ばしく思います。作品が載って…

うたつかい2012年12月号

うたつかい -短歌な月刊zine- ますます分厚くなってびっくりしています。先月号から始まった連載も面白いです。 「君の町まで」 御殿坂のぼりきれずに自転車は人を降ろして進みゆきたり 飛坂をゆく少年の背中おす孤独という名の加速度がある 人のような坂だ…

うたらば 第40回テーマ「生」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 わたしたちは冬に生まれてひややかな指に触れないようにふれあう この歌をふくむ連作「光る駅」を、うたつかい2012年2月号に投稿しました。

紅白短歌合戦'12

年末のTwitter上での短歌イベントにお邪魔しました。 趣旨・ルールについて/togetterのまとめ 年末はあわただしくてなかなかTLを追えていなかったのですが、幸いにして牛さんとましろさんにお誘いをいただいたので、ちゃっかり参加してしまったのでした。 T…

未来2013年1月号

「静かな革命」 曇天をよこめにけさは犬のため無塩のパンを焼きゐる店主 降りさうな不二家の前でペコちやんのいつまでも濡れてゐる舌の先 僕よりもゆるやかに老いていく椅子をゆふべの窓のひかりに寄せる 空の眼は潤みはじめて明日きみは花の名をもつ町より…

未来2012年12月号

「隣りあふ海」 運命を手繰る右手と突き放す左手の間にわが置かれをり いつしゆんの背(せな)ひからせて鈍色の魚は真水の奥に消えにき 窓ガラスの空が映つてゐる部分だけを見つめてきたやうな人 たましひの代理人たる少女ゐて空の鳥籠ゆらしてをりぬ 波に目…

うたらば 第38回テーマ「細」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 休憩に煙草ふかせばたましいはこんなにも細くながく流れる そういえば、投稿している割にはブログパーツをここに貼っていないんですけど、はてなダイアリーは通常では…

うたつかい2012年10月号

うたつかい -短歌な月刊zine- 表紙裏のさくらこさんの歌がとても好きです。 「この薬指」 君がわたしの髪を乾かす時に降る遠い記憶のなかの夕立ち 感情線生命線をかい潜り運命線を走る列車よ ぎんいろの軛(くびき)を抜けば浮き上がる泡よりかるきこの薬指 …

未来2012年11月号

「縺れゆく舌」 人工衛星(サテライト)はつかに過ぎるみづうみの底ひにをのことをみなの眠る 大母(おほはは)の予言に縺れゆく舌よ<おまへは言葉にたましひを売る> 限りなき溺死の記憶湛へつつ街はまたぞろ夜に消えたり わたくしの体に憩ふ獣(けだもの…

短歌研究(2012年11月号)

詠草の選は佐佐木幸綱さん。 よんほんの足を生やして自転車は走りゆきたり父と子を乗せ 寝不足のヴォーカリストの頭上にて花を咲かせる地下鉄路線図 おもむろに拳をひらき放ちやるやうにあなたも老いてゆくのか 今月号は新進気鋭の歌人とか特集が盛りだくさ…

うたらば vol.06 テーマ「入道雲」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 冊子に歌を採用していただきました。前回に引き続き写真ページと佳作採用!なのに、ブログがこんなに遅くなってしまって申し訳ありません。 海沿いの国道をゆくトラックの荷台に積み上がる白い雲 限りなく育つ雲へと…

うたらば 第36回テーマ「手」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を採用していただきました。 うつくしき他者の介在 なだらかな腹に手を添へ微睡む姉は 題詠blog2011で詠んだ歌なのですが、表紙フォト短歌に選んでいただいて、裏うたらばにも取り上げていただいた…

NHKラジオ第1「オトナの補習授業」

ラジオ第1「オトナの補習授業」 夜ぷちがなくなり、短歌研究の詠草もうたう☆クラブも出さなくなった今、久しぶりの投稿となりました。 テーマは「短歌・日記をつけるように」。 殖えすぎたクラゲを真水に入れるとかそういうことしか今日はしてない 勝村政信…

未来2012年10月号

「ほほづゑの千年」 はつ恋は水際のごとく潮騒に耳を浸せば沁みてゆく部屋 立て膝で「野ばら」を歌ふ窓ぎわの君はをみなを喉(のみど)に棲まはせ ほほづゑの千年ののち立ち上がり歌ひはじめる寿歌のこと 臓器(オーガン)をわさわさ揺らしつつ笑ふ人の子ら…

短歌研究(2012年10月号)

詠草の選は佐佐木幸綱さん。 異界より来て異界へと戻りゆくチャルメラやきいも物干し竿も うたう☆クラブコーチはなみの亜子さん。 たわむれに不思議な味のお茶を飲むロシアのキャラバンについてゆく 今後は、投稿するのを控えていこうと思っています。ああ、…

うたつかい2012年7・8月号

うたつかい -短歌な月刊zine- しまった、書くのを忘れていた。この号から隔月刊になりました。 「模範囚」 模範囚のごとくに我が見ゆる日の胸に揺らるるIDカード 曇天をひるがえし飛ぶつばくらめ翻された言葉のあとを 好きな人の指を数えてもう一度数えなお…

短歌研究(2012年9月号)

新人賞は今年も予選を通過したのみでした。 わたくしが水であること青いみずに尿をすればいろがかわるよ たましいの端と端とを掴み合い四条通をすり抜けてゆく 来年またチャレンジします。 詠草の選は高野公彦さん。 風に圧され漫画喫茶に辿り着くわたしが吹…

短歌研究(2012年8月号)

詠草の選は高野公彦さん。 沈黙が耳に噛みつく夜にいてわたしは指を組み合わせている 交配の果てなるわれら地の下を走る列車に運ばれてゆく うたう☆クラブのコーチは横山未来子さん。 妹と呼ばれることのなき一生 吹上坂をぐんぐん下る ☆マーク付きでした。 …

天下一短歌会に参戦しました

エキチカヘブン'12の前日、7月14日。大阪は空き家*1で行われた天下一短歌会に参戦してきました。(リンクはUstreamの天下一短歌会アカウントとなっています) 1stラウンドとは26名、評のあとに点を入れる方式で上位5名が決勝ラウンドに進出できます。 ベラン…

うたつかい2012年6月号

うたつかい -短歌な月刊zine- 早く書いておかないと次号が来てしまう! 「幾つもの河」 幾つもの河を越えたる思いする 俯せに眠るひと跨ぐとき 丸パンをゆっくりと割る指先に孤独をも渡されてしまえり うすい血の色の沈黙 向かい合うふたりの上に降るウムラ…

『エキチカヘブン’12』に出演しました

大阪の堺市で行われるイベントに短歌の朗読で出させていただきました。お誘いいただいた岡野さんから聴いていた通り、海が見え、女神を遠くに望む、駅から近くの素敵な会場でした。 正午過ぎに会場入り、壁に短歌を貼ったり冊子の製本をお手伝いしたりリハー…

『エキチカヘブン’12』に出演します

告知です。大阪の堺市で行われるイベントに出させていただきます。 以下、お誘いいただいた岡野大嗣さんのツイートより。 解散の危機を乗り越えた「何らかの歌詠みたち」が、7月15日(日)大阪の堺市で開催される『エキチカヘブン’12』に出演します。メンバ…

うたらば 第32回テーマ「焦」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに、歌を2首採用していただきました。 雨上がりはいい匂いです六十年前は焦土だったという、この国の なんの思ひもて斧ふるふ男らは樵とふ字に閉じ込められて

NHKラジオ第1「オトナの課外授業」

ラジオ第1「オトナの補習授業」 6月19日に台風4号のため放送が休止になり、採用歌だけが先に発表されていた「短歌・あのヒトと相聞歌」は7月3日火曜日21:05〜21:55の放送です。だそうです。テーマは「声」。久しぶりに東先生の声がラジオで聞けるー! 以下、…

短歌研究(2012年7月号)

今月号は自分のとかは割ともうどうでもよくて、むしたけ号だと思ってました。(車みたいだなあ) 自分もうたう☆クラブ賞は過去に2度いただいていて、まあかすりもしなかったんですけれど、十年の軌跡を見ていたら自分なんかほんとまだまだだなあと。思いまし…

うたつかい2012年5月号

うたつかい -短歌な月刊zine- 東京のなかでもうちはなぜか届くのが一日遅くて、到着報告ツイートを見るとどうしてもそわそわしてしまいます。 「恋愛始末譚」 ながすぎる恋のかたみとして残るあなたを仕舞っておく箱がない 昨日までは確かにあなただったもの…

うたらば 第31回テーマ「雨」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 ブログパーツに歌を採用していただきました。 こんなにも細くて頼りないからだで降ること決意したのね 雨は 題詠blog2011より。

短歌研究(2012年6月号)

詠草の選は馬場あき子さん。 我ひとり入る墓のごとしづもれる集合住宅へ戻りくる 鉄筋のコンクリートに囲まるる部屋とはときに石棺である 「囲まれる」としていたのを上記のように直していただいていました。やってしまうんだよなあ、気をつけなければ。 う…

NHK短歌(2012年5月号)

うっかり書き忘れるところだった。この時のが載っています。 NHK短歌(2012年3月25日分) - モ ノ ガ タ リ 結局、四月以降は投稿をしていません。2年間、ほんとうにお世話になりました。ありがとうございました。

うたつかい2012年4月号

うたつかい -短歌な月刊zine- ますます分厚くなってゆく、なのにお値段据え置き100円。毎月毎月、頭がさがる思いです。 「都会に住む動物たちのことについて僕らが何を知っているだろう」 曲がり角を直角に曲がり鮫が来る 会釈をしてからまた歩き出す アイス…

うたらば vol.05 テーマ「想い人」

短歌×写真のフリーペーパー「うたらば」 冊子に歌を採用していただきました。初の写真ページ採用! ガラス越しに眺めていたい(恋人よ)わたしの指紋は汚れすぎてる ミサイルの発射スイッチ押すように送信ボタンを叩く毎日 ましろさんからはうたつかいの3月…

短歌研究(2012年5月号)

詠草の選は馬場あき子さん。 何のあとも腹は減るのだ喪を連れてトンカツ定食平らげている 六年前のことを、ようやくいま言葉に、歌にできるようになりました。他の四首はどうにも思いが先行してしまって今見るとどうにも拙さが目立ちますが、あの日叩きつけ…